人間にとって害のある虫は害虫として駆除すべき

害虫は駆除するべき

私たちが今住んでいる家に引っ越してきたとき、リビングの窓の前にはたくさんの栗の木があった。リビングから緑が見えるなんて素晴らしい!と、その物件の決め手の一つになったくらい、葉が青々と茂っているのが印象的だった。夏になると木に青々としたいがぐりがなっているのを見るのもオツだったし、秋になって色づいてくると、無性に栗が食べたくなったものだった。

ところがちょうどその頃から我が家に異変が起こるようになっていた。洗濯物を取り込むと、必ずと言っていいほどカメムシが洗濯物にくっついているのだ。その量がハンパなく、下手をすると10匹以上くっついてくることもあった。何故か肌寒い日にはあまりついておらず、ポカポカとした小春日和の気持ちいい日に限ってカメムシは大量発生するのである。洗濯物を取り込むときに手で払うようにはしているのだが、このカメムシがやっかいで、洋服の中に侵入してしまっていることもあり、そうなるとなかなか発見することができない。

あるときなんか、子供が着替えている最中に「クサッ」と言うので何かと思ったら、子供の服の中で潰れていたのだった。葉っぱ100枚をぎゅっと潰して濃縮したような、あの独特の青臭さに思わず鼻をつまんでしまった。こんな風に洗濯物に紛れてそれを着てしまったときの不運ったらない。

奴らの住処は恐らく栗の木であることは間違いないようだったが、まさかその土地の持ち主に「お宅の栗の木に住んでいるカメムシに非情に迷惑しているのでどうにかしてください」とは言えず…(土地の持ち主はこの辺の地主さんなので、住みづらくなること必至)。それでも冬になって寒くなれば自然といなくなるのだけど、毎年のように穏やかな秋の日にはカメムシが大量発生するので憂鬱だ。人間にとって害のある虫は害虫として駆除すべきだ、と思いつつ、一年のうちのほんの数週間だけだから、と今は口をつぐんで鼻をつまんでいる。